非行とは
子どもはなぜ非行に向かうのでしょう?非行には、子どもが家庭から飛び出さずにはいられない状況に追い込まれている場合や、子どもが自ら家庭を飛び出し非行に向かう場合などがあります。いずれの場合も家庭生活よりも非行の生活の方がより魅力的に子どもの目には映るのでしょう。では、何を指して非行というのでしょう?親の言うことや教員の言うことを聞かないというだけでは非行とは言えません。飲酒・喫煙や万引き、窃盗、暴行など、何らかの違法行為が始まったとき非行と呼ばれるようになるのだと思います。ただ、単発の違法行為は非行とは呼ばず、違法行為を繰り返し改めることなく継続させる場合に非行と呼ぶのでしょう。非行を繰り返す子どもは、むしろ違法行為を他人に見てほしいと思われるような行動をとったりします。そして、他人からの注意に従うことなく注意に対して反抗する行動を取るのも非行の特徴です。 そして、一度非行の行動が定着するとなかなか元に戻ることができなくなることや、違法行為が徐々にエスカレートし違法行為に酔ったような状態になり我を忘れて更にエスカレートしていくのもよく見られる非行の特徴です。
非行に向かわないために
多くの子どもは、非行に向かいたくて向かっているとは到底思えません。非行に向かわざるを得ない状況が家庭にあるのです。ご飯が食べられない、寝る場所がない、暴力を毎日のように受ける、そのような状況の中で、やむにやまれず家を飛び出すのです。子どもを非行に向かわせないためには何よりも家庭に子どもの居場所があり子どもが尊重されていることが大切です。楽しい子育てや子育ての基本とは?を参考にしていただければ幸いです。ただ、家庭が一見良い状況に置かれていても非行に向かう子どもがいることは確かです。さみしさや孤立感がどこかにひそんでいるのでしょう。そして非行のモデルが子どもの近くにあるのでしょう。そのような子ども達の目には、非行が自由で魅力的に見えてきます。またテレビなどで非行が美化されると憧れを抱いたりもします。非行の現実は、厳しく辛く苦しい状況が待ち構えているのですがそういった負の面は目に入らず美化された部分だけが子どもに感じられ非行の世界へ足を踏み入れてしまいます。この場合でも、やはりきっかけはどこかにさみしさを子どもは家庭内に感じているということです。家族といて楽しい、家族といることが嬉しいと思える状況を家族全員の力で築いていくことが非行に子どもを向かわせないために必要なことです。
非行からの脱却
非行に向かった子どもは、熱病にかかったかのように自分でも自分のやっていることがよくわからなくなっている様子を見せます。反抗が先に立って自らの周囲にバリケードを張り巡らせて注意や指示を一切拒否する姿勢を取ります。特に非行に向かって間もない子どもはその傾向が強く見られます。また、非行は仲間がいる場合が多く、その仲間から離れていくことは仲間を裏切るような気持ちになったり仲間が離れることに対し脅しをかけたりするのでなかなか一人だけ非行をやめることができない構造になっています。非行からの脱却はそのような要因もあって難しいのです。
非行が始まり時間が経過するとともに子どもは、家庭から離れていき、その生活が厳しいことがだんだんと分かってきます。あわせて子どもは、多くの場合、さみしいという気持ちが非行の発端となっていますから、注意や指示といった言葉以外の優しい言葉には素直に反応するようになります。ただ、素直になりたくてもなれない強がりを見せることもよくあります。地道に継続して優しい言葉をかけながら強がりを取り払い本音を出せるように接していくと次第に心を開いてくることも多くなります。集団の場では強がる子どもも可能な限り仲間も含めて家庭に戻る働きかけを続けると家庭に戻るタイミングを見つけることもできるようになります。ただし家庭が元のままであると子どもは帰ることができません。子どもが荒れて家の中で物を壊したり家族に暴力をふるう場合には警察と協力して違法行為は許されないことを示すことが大切ですが、あくまでも子どものさみしさがどこにあってさみしさをなくすために何が必要かを知り家庭に変化を起こすことを第一の取り組みと考えるべきです。
非行は熱病にかかったようだと述べましたが、警察や家庭裁判所、そして少年院での矯正教育によって、熱病から覚めて我に返って戻ってくる子どもも多くいます。家庭や学校という枠だけで非行からの脱却を図ることが難しい場合は、関係機関と協力することも子どもを早く立ち直らせるためには必要です。各警察には、少年を専門に扱う係や、非行に向かう少年の相談を行う部署がありますので早めに警察の相談機関に連絡を取ることをお勧めします。警察は少年に対し矯正教育の視点で対応してくれます。
非行とインターネット
非行に向かう子どもたちは昔からコミュニケーションツールをいち早く取り入れ巧みに利用していました。ポケベル、PHS、携帯電話、そしてスマートフォンです。非行は必ずといっていいほど人とつながりながら進展していくのです。それでもインターネットが現れる前はつながれる仲間は学校の友達が中心で行動範囲も限られていましたがインターネットが現れると同時に子どもたちのつながる範囲は飛躍的に広がり、つながる年齢層も成人のしかも非行とは一見無関係の人へと広がりました。子どもが入手できる情報量は飛躍的に増え、ありとあらゆる世界の情報が子どもにもたらされてきます。非行が親や社会の目から見えにくくなってきているのです。しかも殺人、売春など想像もつかない犯罪行為と直結してきているのです。子どもの行動が見えなくなってきたら、警察の持つ最新のインターネット上の情報等を利用しながら子どもの行動をどのように把握し導いていくかを相談することが大切です。警察は取締だけでなく矯正教育の観点から子どもを指導する力を持っています。早めに警察関係の少年相談組織に相談をしていくことが大切です。