我が子に障がいがあると知った時、親はどのようにその事実を受け止め何をしなければいけないのでしょう。多くの親は、事実を受け止め何をしなければならないかを冷静に判断するまでに多くの時間を要します。本当ですと家族が協力して力を合わせて前に進まなければならないところを、逆に家族が分裂してしまう例も実際には多くあります。障がいのある子どもは、どのような障がいであろうとこの世に生まれ、懸命に生きようとします。その輝きはどの子も変わりません。その生きようとする姿を家族だけでなく学校や行政の福祉サービスなど多くの力が協力して支えることが大切です。

何ができて何ができないかを知る

障がいには身体的な障がいや知的な障がい、情緒的な障がいなどさまざまな障がいがあります。同じ障がいでも重度であったり軽度であったりと違いがありますし、もっと言うと一人ひとり障がいの現れは違います。自分の子どもがどのようなところに障がいがあり、何ができて何ができないかを知ることがとても大切です。そして何が得意で何が不得意なのか、何が好きで何が嫌なのかを知ることも大切です。最近、発達障がいの特性についてはテレビやインターネットなどで多くの情報が発信されています。ところが、これらの情報だけで自分の子どもは発達障がいだと思い込んでしまうことも多くあります。障がいが疑われる場合は専門家と相談し子どもの状態をしっかりと知ることが大切です。

障がいのある子どもだからこそできることがある

視覚に障がいのある方の聴覚の発達は顕著で、音楽家として活躍されている方がいらっしゃることはよく知られています。一部の身体機能に障がいがあっても他の機能がそれを補いパラスポーツで活躍する選手を多く見ることもできます。自閉症の方の繊細で緻密な作業が結実した美術作品には目を奪われますし、知的障がいの方の温和で優しい気持ちには心が洗われます。発達障がいのある方が、研究者として大きな成果を挙げていることも有名です。障がいのある方だからこそできることがあるのです。

できないことでも道具を使ってできる方法を考える

パラスポーツでは、その人にあった装具を利用する姿を多く見ます。陸上競技選手の義足を使った走りやスキー選手のバネの利いたスキー板を使った物凄いスピードの滑りには圧倒的な迫力を感じます。身近なところでは、視力矯正のメガネや足を負傷したときの松葉杖もそういった道具です。発達障がいの一つで注意が次々に移ってしまう注意欠陥障がいで困っている人がいます。いろいろな所に財布など大切なものを置いてきてしまい困っていたのが、財布とバックとを繋ぐスプリングをつけたら財布をなくさなくなったという例があります。片付けが苦手で困っていたが、不必要なものをどんどん処分し、使うモノだけを決められた場所に置くことにして片付けができるようになったという例もあります。読字障がいの方が音声読み上げ機能を利用したり、書字障がいの方がキーボード入力を利用することで障がいを軽減させている例もあります。できないことでも、道具を使い環境を整えることでできないことを軽減させることはできます。障がいのある子どもの子育てでは、子どもといっしょにどうしたら生きやすくなるのかを考えていくことが大切です。特に発達障がいの子どもは、障がいが分かりづらく、親や周りの人から何でできないんだと非難されることが多くとても辛い思いをしています。親は子どもの辛さをできる限り理解し障がいの表れが少なくなるような方法を共に考えていきたいものです。

できることを一生懸命に行うことこそ尊いことを知る

世の中では、いろいろなことが出来る人が優れているとか有能だと思われがちですが、果たしてそうでしょうか。自分のできることをコツコツと一生懸命に取り組むことこそが尊いことのように思えてなりません。この世に生まれて最も大切なことは「幸せ」を感じることではないかと思っています。幸せを感じることができるのは、自分のできることを一生懸命にできることだと思います。そもそも他の人と比較することは必要ないと思います。障がいのある方は出来ることが限られてしまうことが多くあります。しかし、できることはどの人にもあるはずで、その人なりにできることを一生懸命に行うことが尊いと思えてなりません。そういう子育てが幸せを見つける子育てではないでしょうか。