解決志向の子育て
私は、教員時代に教育相談に携わっていた時期があります。そこでの経験は学校に戻った際にかけがえのない財産となりました。教育相談を受けるためにやってくる子ども達はいじめを受けて傷ついている子、さまざまな理由で不登校になっている子、自閉症や学習障がいやADHDがあり、家や学校で困っている子どもたちです。
私たちが教育相談を行う際に基本とする考えの一つに「解決志向ブリーフセラピー」がありました。解決志向とは問題志向との対義語で、過去の問題点を探しその問題点に働きかける問題志向ではなく、どうすれば良くなるかを探す解決志向の考え方です。これを、ブリーフ(短期間)のうちに見直し、方針を次々に打ち出していく方法です。
解決志向は、未来志向です。過去がどうであれ、これから良くなることが最重要のテーマとなります。未来がどのようになれば良いか夢を語り、その夢の途上にある当面のゴールを目指します。解決志向はリソース(解決のための資源)探しです。悪いところやダメなところを探すのではなく、できること、好きなこと、得意なことを探します。そして、相談は、ほめる、ねぎらうから始まり、常に相談者を最大限に尊重することが重要になります。ほめる、ねぎらう中で、実は相談者は自ら問題の解決の糸口となる好転へのキーを示してくるのです。
この方法を子育てに置き換えることができます。解決志向の子育てです。解決志向の子育てとは、過去がどうであれ、未来志向で考え、これから良くなることが最重要のテーマとなります。未来がどのようになれば良いか夢を語り、その夢の途上にある当面のゴールを目指します。解決志向の子育てとは、リソース(より良く生きるための資源)探しです。悪いところやダメなところを探すのではなく、できること、好きなこと、得意なことを探します。そして、常に子どもをほめ、ねぎらい、最大限に尊重する中で、子ども自らがより良く生きる道筋をつかむことです。
親は子どもと向き合う中で「困ったな」と思う場面によく出合います。解決志向で全てうまくいくとは思いませんが、過去の問題点を挙げて叱責するのではなく、未来に少し目を転じ、どうすれば良くなるかを考えてみてはどうでしょう。何かが変わるかもしれません。解決志向は相談や子育てに限らず夫婦、家族、職場など全ての人間関係作りに有効であると私は考えています。