根岸英一先生と夢
2010年にノーベル化学賞を受賞された根岸英一先生がご逝去されたことを知りました。根岸英一先生は、有機化学合成の基本理論の一つを確立された方です。根岸先生とは縁あって、日本に滞在中のホテルやご親せき宅を訪問させていただき、私の在籍した学校の生徒にお話をしていただくことができました。また、食事を共にさせていただき、先生の若き日の逸話なども聞かせていただくことができました。
根岸先生は、ご著書「夢を持ち続けよう」の中でも、生徒に対するお話の中でも、まさに「夢を持ち続けることの大切さ」をお話されていました。根岸先生は、世界の科学技術の前進に大きく貢献された方です。そして、私がお会いした当時、根岸先生がこれからの人類のために、二酸化炭素(無機物)から栄養分やエネルギー源(有機物)を作り出す光合成と同じような化学反応を人工的に低コストで行う研究を進めることが大切であると述べている雑誌の記事を目にしました。これは、地球温暖化の元凶となっている温室効果ガスの一つである二酸化炭素を減らすと同時にさまざまに活用できる有機物を得ることができる画期的な仕組みです。
根岸先生がお話されていた「夢を持ち続けよう」という言葉は、各人が目標に向かって進むことの大切さを意図としてお話しされていたのだと思いますが、私は、根岸先生の夢とは、常に人類のためや世の人のためになることは何かを思い描く大きな夢だったのではないかと思いました。それは根岸先生と接する中で先生のお人柄から強く感じました。私には、人類のためや世の人のために夢を抱き実行するようなことは到底できませんが、目の前にいる家族や友人や子ども達のために夢を描くことはできるかなと思いました。偉大なる根岸英一先生、安らかな眠りにつかれますよう謹んでお祈り申し上げます。
夢
たなか さとし
あれになりたい、これになりたいと思うことが夢だと思っていた
自分の将来のことを考えることが夢だと思っていた
自己を築き上げて目指す姿が夢だと思っていた
でも、人の為、世のためになることを考える夢もあることを知った
そんな夢っていいなと思った
そんな夢がたくさん集まったら
居心地のいい世の中になるのだろうなと思った