母と娘の葛藤と親愛
教育相談において相談者は子ども本人、母親、父親が中心になります。その相談内容は子どもの発達に関することや行動に関すること、対人関係、不登校やいじめに関すること、学習や進路に関わること、学校や行政機関に関することなどがあります。その中にあって、家族内のトラブルに関する相談も少なからずあります。母親と娘、母親と息子、父親と娘、父親と息子さらには祖父母や同居人などの間の関係悪化が相談の内容です。家族内の相談の中で私が印象に残っている相談事例を思い返すと母親と娘の間に起こるケースが多いように感じます。どうして印象に残るのかというと、「どうしてそこまで関係が悪化してしまうのだろう」と私が納得できないほどこじれてしまう場合があるからです。私が男性であるから理解できないのかもしれませんが、子どもが精神的に追い込まれて病理を発症してしまう場合、子どもが母親を拒絶し反抗し家を飛び出してしまう場合など中途半端でない状況に陥るケースが目につくのです。
これらのケースが顕在化するのは、思春期を迎える小学校高学年から中学生にかけてです。これは、男の子や父親との関係性においても共通することですが、その年齢に達するまでの親子間の関わりにおける何らかの弊害が蓄積され思春期を迎えるときに噴出するのでしょう。それが、他の関係性に比べて母親と娘の間では、強く表れてしまうように感じます。女の子は男の子以上に母親の期待に応えようと頑張ってしまうところがあるのではないでしょうか。また、母親は、父親以上に子どもに期待を抱いてしまう傾向があるのではないでしょうか。もちろん、個々に見れば女の子と男の子、母親と父親において全く逆の場合もありますが、一般的な傾向としてはそういった特徴があるように感じます。女性は強いつながりを求めている傾向があるとも言えるように思います。
ですから、女の子を育てる時には、男の子以上に過度に子どもに期待をかけたり、励ましすぎないように注意をした方がいいように思います。子どもに対しては「ものを言う量」よりも「ものを聞く量」が常に上回るよう気をつけることが大切です。とりわけ女の子にはそうしてあげてください。ただ、その裏返しとして、母親と女の子の関係がうまくいくと、これほど互いに楽しい関係を築ける相手はいません。成人になっても互いに一番の相談相手となり強い絆を作ることが出来るのも母と娘だと思います。
ついつい言わなくてもいいことを言ってしまう
たなか さとし
ねえママ、テストで95点とったよ
どこを間違えたの?ちゃんと見直しておきなさい
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ねえママ、テストで95点とったよ
そう、よく頑張ったわね
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