ろうそくの炎

ろうそくの炎をゆっくりと眺めたことがありますか。私は亡くなった父母(ちちはは)の仏壇の前で、毎朝ろうそくの炎を前に祈りを捧げています。中学校の学級担任をしていた頃、必ず行っていたことがありました。中学2年生とキャンプに出かけ、キャンプファイヤーが終わった後に、クラスの子ども達を集めてろうそくの炎を見るのです。大きな大きなキャンプファイヤーの炎を前に歌ったり踊ったり笑ったり静まり返ったりした後で。

ろうそくは、一人一本のときもありましたが、たいていは大きめのろうそくを一本、うっそうと生い茂る緑の木々の中の月明かりしかない暗闇の中で全員で一本のろうそくの炎をながめました。澄んだ山の空気を吸い込み、あたりの木々や虫たちの発する音以外の音が何もなくなった中で、じっとろうそくの炎をながめると炎はさまざまな事を感じさせてくれます。原始の時代も、中世の時代も、ある一時の休息の中で、人は炎を見て心を安らげたのではないかと。炎は魅力です。炎は見ていて飽きない。炎は奥深い。子ども達が想像することは皆さまざまでも、じっとろうそくの炎に目を据えて離さなかったことを良く覚えています。

私は、しばらく子ども達にろうそくの炎をじっと見つめさせた後で、私が子ども達に最も伝えたいことを話しました。あなたたち一人ひとりはとってもすばらしいということを。

ろうそくの炎

たなか さとし

ゆらゆらゆれる

オレンジ色の光

ゆらゆらゆれる

あたたかな火

ゆらゆらゆれる

なつかしさを感じさせる炎の意思

ゆらゆらゆれる

やさしく包み込んでくれる炎の眼差し

ゆらゆらゆれる

心をあたためてくれる炎の愛

ゆらゆらゆれる

ろうそくの炎

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