本当に強い人

吉川英治原作「宮本武蔵」を私は二十歳の頃に読み、人の生き方について多くのことを学びました。

武蔵は、自らの生きる道を求め武者修行に出ます。その中で、名だたる武芸者を次々に破り次第に名声を得ていきます。武芸の名門、吉岡一門を相手にしたときも、その強さを発揮し幼い後継者をも含め、多くの人々を切り倒していきました。

武蔵の剣はさえわたり、無敵でした。しかし、武蔵は悩み苦しみました。

本当に強い人とはどのような人なのでしょう。力の強い人、相手をたおせる人、ではなく、まわりの人を幸せにできる人なのではないでしょうか。

強い人は、家族を幸せにできる人、もっと強い人は、学校や職場、地域の人を幸せにできる人、もっともっと強い人は日本人を幸せにできる人、そして最強の人は、世界に住む人々を幸せにできる人だと思います。

最強の人がこの世に現れることを望んで止みませんが、少なくとも、多くの人が強い人になれればいいなと思います。

まわりの人を幸せにできる人は、ありがとう や ごめんなさい が言える人。

まわりの人を幸せにできる人は、話をよく聞いてあげることのできる人。

まわりの人を幸せにできる人は、すべての人や物を大切にできる人。

ではないでしょうか。

また、強い人は、気持ちに余裕の持てる人ではないでしょうか。

人は本来攻撃的強さにあこがれます。これは、生物学的にいかようにもしがたい本能です。男性は、自らの種を存続させるために他の男性を打ち負かしてでも自らを誇示しなくてはならない悲しい本能があります。また、女性は、より強い種を求め、より強い子孫を生み育てようとする本能があります。このような本能が大脳辺縁系にプログラミングされているのです。

この本能に打ち勝ち、「まわりの人を幸せにできる人こそが強さだ」とプログラミングするためには、大脳新皮質にはたらきかける教育が必要になります。

この教育の第一歩は、大人が範を示すことではないでしょうか。

ありがとう や ごめんなさい が言える大人であり、話をよく聞いてあげることのできる大人であり、すべての人や物を大切にできる大人が子どものまわりにいれば、次第に子どもも本能に打ち勝ち、新たな認識が生まれてくることでしょう。

そうすることで、いじめが無くなり、もちろん体罰も無くなり、虐待もなくなります。

動物としてのヒトから脱し、叡智を持った人間社会を築くためには、大人が叡智ある人間として行動することが何より大切と自戒を持って考えます。

また、子どもたちへは、スポーツや芸術、学術において他者と競い合い自らを高めるための強さを身につけることは大切であっても、その強さは、相手を打ち負かすためではなく自分を向上させまわりの人を幸せにするためのものであるということを伝えていきたいと思います。

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