子やぎ

子やぎ

たなか さとし

夢の中に一ぴきの子やぎが出てきました

体をこわばらせ

四本の足をぶるぶる ぶるぶる

ふるわせながら じっとしています

私がそっと近づいても

子やぎは 体をこわばらせ

ぶるぶる ぶるぶる 四本の足をふるわせています

私は 子やぎを抱きかかえ ぎゅっと抱きしめました

でも 子やぎは 体をこわばらせ

ぶるぶる ぶるぶる ふるえています

私は 涙が

ぽろぽろ ぽろぽろ 流れ

止まりませんでした

学校には考えもつかないほど苦しんでいる子どもがいます。ある子どもは、暴力をふるい怒声を発し辛さを怒りに変えます。ある子どもは、居てもたってもいられずに辛さを逃走や逃避に変えます。ある子どもは、辛さをじっとこらえ何も話さず何もせず苦しさを内に抱きしめ固まっています。

子ども達は自分のつらさを理解していません。自分の状況を客観的に捉えることや他と比較する術を持っていないからです。子ども達は何だかわからないけれども腹立たしい、なんだかわからないけれども気に入らない、イライラする、体が動かないのです。

苦しんでいる子ども達の育ちの環境を見ると、親が自分を見てくれない、親が自分を見すぎている、と両極端です。親が子どもをどのように見ているかが大きな問題だと私は思っています。

ある子どもが、中学に入学して以来教員の指導に従わず学校で大暴れを繰り返していました。ある時、担任はその子を送りながら一杯のラーメンをご馳走しました。その子どもは「初めてこのようなものを食べた」と大喜びでした。ただ、その子どもの親は派手な生活をしていてとても経済的に困窮しているようには見えませんでした。親の目が子どもの方を向いていなかったのです。担任は子どもがどのような子どもなのかその時になって初めて分かったと言っていました。子どもは、ぎりぎりの中で大切なものを求めて生きあえいでいたのです。 そんな子ども達が私の夢の中に出てきたのでしょう。

参照:楽しい子育て

参照:子育ての基本

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