「だめ」を言わない叱り方

言霊(ことだま)」という言葉をご存じでしょうか。言葉には、単なる言葉かけ以上の力があるということです。ルドルフ・シュタイナーも人の12の感覚の中に、その霊的な言語感覚を謳っています。「いい子だね」「いい子だね」「いい子だね」と毎日のように言われると、次第にいい子になっていく。逆に「だめだね」「だめだね」「だめだね」と毎日のように言われると、本当にだめになっていくということです。

子育ての中で、「だめ」を言わなければならないことは山ほどあります。「そこに登ったらだめ」「おもちゃを投げたらだめ」「お友達を叩いたらだめでしょう」「飛び出したら危ないでしょう。絶対にだめ」。どれも子どもの安全を守るために、社会性を身に付けさせるために教えなければならない大切なことです。ただ「だめ」が重なり続けると次第に親子間に距離が生まれます。そして「だめ」が幼い時だけでなく小学生や中学生になっても続くと親子間には溝が生じます。「だめ」には、言葉の中に「相手を否定する」言霊が宿っているのです。

では、「だめ」を言わないようにするにはどうすれば良いのでしょう。特別支援教育の世界では極力「だめ」を言いません。「登りません」「投げません」「叩きません」「飛び出しません」と相手を否定するのではなく行為を否定するのです。ただ、事の程度によって言い方を変えます。緊急度や重要度が低い行為に対しては、穏やかに低い声で諭すように言います。そして、緊急度や重要度が高い行為に対しては、目を大きく見開いて大きな声で強い意志を持って言います。言葉以上に子どもは、大人の意思を感じ取るものです。ただ、いくら強く言っても、相手を否定するのではなく行為を否定しているのですから「自分のために」言ってくれていると子どもは感じ取るのです。「だめ」という言葉は、いくら小さな声で言っても自分が否定されていることを子どもは潜在意識の中で感じ取ります。大人の世界で大人同士が「だめ」を極力使わないように振る舞うのも同じことだと思います。

幼稚園に入園してからや小学生、中学生になってからは、事の善悪は教えるのではなく考えさせることが大切です。本人が納得できない叱責は無意味に等しいと言えるでしょう。なぜいけないのか、どうすれば良いのかを考えさせることが最も大切です。答えを一緒に考えてくれる大人の存在は子どもにとってとても頼もしい存在です。

参照:ルドルフ・シュタイナーが言う12の感覚

参照:子育ての基本

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