見方・考え方
今、学校では先生方の間で「見方・考え方」という言葉に注目が集まっています。それは、「見方・考え方」という言葉が学校で行われる教育活動の指針ともなる学習指導要領の柱となる考え方の一つだからです。これまでは、どちらかというと学校では「国語」を習うとか「社会」を教わるといった意識が強かったと思います。もちろん、学校では、国語や社会を教わるわけですが、その最終目標は国語や社会の学問をきわめるというよりは、それを生活の中でどのように生かすことができるかが問題となっているのです。学習した内容は、当然入学試験や就職試験に合格するためだけにあるのではありません。生活の中で役に立つことがたくさんあることはもちろんですが、生活の中でさまざまな見方や考え方ができるようになれば、世の中の見え方が変わり生活がより豊かになるのだと思います。
今、学校では先生方が国語、社会、算数、理科、英語、音楽、美術、保健体育、技術家庭の教科を子ども達に教えるときにどうやって教えれば、国語的見方・考え方が身につくか、社会的見方・考え方が身につくか、算数的見方・考え方が身につくか、…、と一生懸命に考えています。ところで、みなさんは学校で学んだことがどのように生活に役立っているか思い当たることがあるでしょうか。私は、何かを教わったことよりも、自分で何かをしたことの方が後に残っているように思います。先生が話していることを聞いていてもピンとこなかったことが、自分でノートにまとめたときにそうだったんだと納得したり、自分で問題が解けたときに、はじめて理解できた気がしたものです。教わるという受け身ではなく、自分で活動する中に学びがあったように思います。私が中学の時大好きだった社会の先生は、話が面白いだけでなく、歴史や地理のノートのまとめ方が上手で、いつしか他の教科や、私が高校生や大学生になった時に、そのまとめ方でノート作りをするようになっていました。先生が何か言ってもそれだけでは理解に至らず、自分でまとめて見返す中で学習を積み重ねていったように今になって思います。そのようにあくまでも学ぶということは学習者が主体となって経験したり活動する中で身につくものではないでしょうか。先生は、内容を教えるというよりは、子ども達に体験や活動の場を与え、見方・考え方の手本を示すことが大切なのだと思います。
ルドルフ・シュタイナーは、次のように言っています。
先生は、いわば自然の仲間にならなければいけません
なぜなら
子どもを成長させるのは
自然なのですから
ルドルフ・シュタイナー
親や教師は、自然の美しさ 科学のすばらしさ 歴史から教わることの大切さを自らがそれらの事象に感動する中で語り、体験へといざなわなくてはいけないのだと思います。そして子どもがそれらの言葉にときめき、子ども自身の手、足、耳、目、鼻、口、皮膚、全身を使って様々な事象を感じとり、考え、経験する中に学びがあるのだと思います。
参照:学習